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学位をとるための道

  • 教教 わくわく倶楽部
  • 2023年11月27日
  • 読了時間: 3分

私は6年前に社会人学生として博士課程後期に入学し、長期履修制度の最終年である今年の9月に修了して博士の学位を取得しました。これから大学院を目指す方や在籍者へのアドバイス等があれば、ということで、教・教の事務の藤原さんからご依頼をいただきました。僭越ながら社会人大学院生として生活する上で、私が意識しておこなった行動を記したいと思います。


ポイントは時間の確保と時間の質の重視です。私は、認定こども園で理事長と園長、児童発達・放課後等デイサービスでは管理者として日々、忙しい毎日をおくっていました。現場では毎日、予期せぬことが起こるため、日中はまとまった時間を取ることが困難でした。そのため、研究に費やす時間は自ずと平日の夜中と週末の休日となります。平日はさまざまなことへの対応や年齢的なことから、すぐに疲れてしまうため、午後7時から始め、遅くとも午前0時までには終了することを心掛けていました。もちろん、毎日ではなく、上記の時間帯で可能な日を1週間のうち2日ほどピックアップし、この時間は主に先行研究の調査や文献の読書に充てていました。疲れた状態でクリエイティブな活動は困難であったために、インプットの時間に費やすようにしていました。そして、週末にはデータ分析や執筆に時間をあてるというように活動を分けていました。これは最初からこのような形態をとったのではなく、6年の間に自分にとって効率的な状態を模索した結果です。


次は時間の質です。これは私にとっては、最も大切な要素となりました。博士論文の執筆となると、一朝一夕でできるものではありません。また確固たるテーマが決まるまでに相当の時間を要します。この場合、机上で考え事を行っても豊かな発想にはつながりませんでした。そのため、私がとった行動は、自分が一番リラックスできる場で発想を必要とする作業を行うようにしたことです。私にとっての最もリラックスできる場所は、飲食店、特に餃子店でした。行きつけの餃子店を作り、餃子とビールを片手に、机の上には書類を広げ(もちろん店主には許可をとりました(*^^*))、月に数回、考え事をするために餃子店に通いました。リラックスした状態で、思いつくことを紙に書きだし、図式化するという作業を繰り返しました。研究の多くの発想は、このようなリラックスした状態から創造されました。そして、創造された発想は週末に、真っ暗な部屋で実行しました。私の場合、周囲に視覚的に邪魔するものがあると、集中力が弱まる傾向がありました。そのため、部屋の中に真っ暗なスペースを作りました。具体的には部屋の中に光を通さない素材でできたドーム型のテントを張り、その中には机と電灯のみにし、耳には耳栓を付け、研究に必要な情報以外のものをすべて遮断し、研究に集中せざるを得ない状況を創出しました。この環境は私にとって非常に有効で、おそらく通常の3倍ぐらいの密度で分析や執筆に取り組めたと思っています。このように目的に応じた場所の選択や環境設定をおこなうことで、時間の質をあげ、限られた時間の中でいかに過ごすのかということを重視しました。


社会人学生にとって、「いつかやろう」では、おそらく研究に対するモチベーションを保つことは困難だと思われます。少しずつでも前に進んでいけるように、有限である時間をどのように捉え、どのように過ごすかが社会人学生にとっては、最も重要であろうと思われます。


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週末集中して研究に打ち込んだ暗室

幼保連携型認定こども園 やまなみ幼稚園

理事長・園長 田中 文昭

 
 
 
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