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教職P

修了生インタビュー

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“先生の先生”になる歩み

佐藤 雄一郎(大阪教育大学 2018年度修了)

プログラムでの学び~“先生の先生”になる準備~

私がこのプログラムの受講を決めたのは、教員養成をとおして日本の教育を少しでも良くしたいと考えていたからでした。また、私は教育方法学を専門にしているのですが、自分が子どもの発達やよい授業のあり方を研究しているのに、自分の担当授業がお粗末ではいけないと考えていたからでした。

 そう考えていたものの、実際にプログラムを受けていくと非常に苦労しました。シラバスを書くときには、15回の授業をどのように構成し、どのように自分の専門分野を活かせばよいかが分からない。授業の指導案を書くときには、何を教材にすればよいか、どのように発問すればよいかが分からない。教壇実習のときには、どのように振る舞い応答していけば、学生にとって聞きやすいのかが分からない。教職科目担当教員として、育てたい教師像と授業理念を問われたときには、イメージが固まらない、イメージができても言語化できない。いかに自分が“先生の先生”になる準備ができていないかを毎回痛感していました。
 それでも、時間をかけて自分と向きあい、思考を整理し、省察を重ねていくなかで、少しずつ“先生の先生”としての「私」を形成していくことができました。そこには、厳しくも温かい指導や援助をくださる先生方、一緒に考えてくれる先輩・同期・後輩がいました。

就職後から現在の取り組み~授業理念の実現に一歩ずつ近づくことを目指して~

 プログラムの最終課題において、私は育てたい教師像を「教育学の知見を獲得するなかで自らの教育観を確立するとともに、教育の現場で『今、何をすべきか』を、常に自らの教育観と目の前の子どもの姿とのあいだで問い、教育実践を構想することができる教師」と書きました。また、そのための授業理念を「教育学の知見を具体的な実践事例を通して教授するとともに、その事例や教育学の知見に対する学生の解釈や議論を組織する授業」と書きました。

就職1年目は、プログラムでの学びを基礎にしてシラバスを作成し、授業の実践と改善を重ねました。まずは政策動向やテーマごとの研究動向を幅広く勉強しながら、授業理念にも書いた「教育学の知見」をしっかりと盛り込んだ授業づくりに取り組みました。しかし、学生にとって分かりやすい事例や発問といった点がうまくいかず、知識伝達型の授業になってしまうことも多々ありました。

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そこで2年目は、シラバスの構成は大きく変えずに、各回の教材選択と発問づくりに時間をかけて授業づくりを行いました。COVID-19の影響でオンライン授業(オンデマンド型・同時双方向型)ではあったのですが、1年目よりは学生の反応は確実に良くなったと感じました。しかし、学生から意見が出ても単発で終わってしまい、学生同士で議論する授業にはなりませんでした。
 3年目の現在は、1年目・2年目の成果と課題をふまえて、学生同士が議論できる授業を目指しています。しかし、まだ上手くいっていません。90分の授業で扱う内容量を予習・復習のあり方を含めて見直す必要性、また学術的に立場の分かれるポイントや実践場面で迷うポイントに発問を仕掛けていく必要性を感じている今日この頃です。
 プログラムを修了して2年半を経た現時点では、育てたい教師像と授業理念は変わっていません。プログラムでの学びを基盤に、自分の授業理念に少しずつ近づいていけるように実践と改善を繰り返しています。

以上は私の個人的な経験ですが、私はこのプログラムを最後まで受けて、とても良かったと感じています。確かに、3年間のプログラムは毎回しんどかったですし、Ph.Dの研究も進まないなかで、時間とエネルギーを使わなければなりませんでした。しかし、就職した後は、(1)で書いたようなことで悩む時間も取れず、先生方や仲間から指導・援助をもらうこともできません。

また大学に就職すると、研究者としても教育者としても専門的力量を求められます。教育者として教職科目をしっかり教えようと思うと、政策動向やテーマごとの研究動向を勉強することになり、研究者として学問地図を広げることにもつながります。また自分の研究がより良い学生教育にもつながっていきます。

教職Pはいま振り返ると、とても貴重な学びの場であったと感じます。今後も自分の授業理念に近づけるように努力を重ね、日本の教育を少しでも良くしていけるように頑張っていきたいと思います。

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