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教職P

修了生インタビュー

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File 4.
「先生の先生」の起点としての教職P

村上 真実(広島都市学園大学 2012年度修了)

講義や学生の反応を通して自分の課題をみる

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「先生、なんで法律を覚えないといけないんですか?」

「先生の先生」として働きはじめて3年目の秋、採用試験の勉強をしていた学生から問われたことです。そのときは、「そもそも法とはね・・・教師は教育公務員でね・・・」と、講義で話していることを説明しました。学生はおとなしく聞いていましたが、納得した様子ではありませんでした。この問いに私が正面から答えられるようになったのは、研究の一環で行なった退職校長へのインタビューで、法律についての「思い」をもった語りに触れたことがきっかけでした。それまでの私は、講義で法律の重要性、先生になる学生が法律を学ぶ理由について「伝達」はしていましたが、そこに自分なりの視点や解釈を入れられていないため、自分の身をもって学生に伝えることはできていませんでした。それゆえ、「先生になる学生にはこれを伝えたい」と思って講義をしたとしても、学生からすれば実感をともなう「自分のこと」にはなっていなかったのです。

このように、私が講義や学生の反応を通して自分の課題をみることを大切にしているのは、教職Pでのプラクティカムの経験からです。院生のときの私は、プラクティカムを行なうにあたって、目の前にいる学生のことは念頭に置かずに「何を伝えるか」を考えていました。そうした「独りよがり」の授業を行なった結果、授業を行なう自分に大きな課題があることを突き付けられました。

自分の課題に向き合う視点

プラクティカムで突き付けられた課題に向き合うことができたのは就職してから(詳細は『教員養成を担う』をご参照ください)でしたが、そのための視点は、平成23~25年に行なった教職Pの共同研究を通して得られたと考えています。共同研究では、「教育と研究の結びつき」を大きなテーマとして教職Pの意義や目指す方向性を明らかにすることをねらい、プラクティカムの検討や修了生へのインタビューの検討、教職Pと他大学の実践との比較検討、プラクティカムの事前・事後検討会の在り方の検討等を行ないました。そのなかで、「知識の伝達者としてではなく、研究者として授業を考えること」、「研究を深めることが教育の充実につながり、それがさらに研究を深めること」の重要性に気づいていきました。このことが自分の課題に向き合う視点となっています。

上述したことを私が自覚できたのは、『教員養成を担う』の執筆・編集作業を通してでした。自分の「先生の先生」としての4年間を振り返りながら、編集作業のなかでEd.D型大学院プログラムの発足時に込められた先生方・先輩方の意図や思い、自分が教職Pにかかわっていたときの意図や思い、その後の教職Pの実際、教員養成・FD・プレFDの観点からの考察といった内容を一連のものとして捉えていくことで、教職Pそのものの価値、自分が行なった実践の意味を再確認することができました。

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「先生の先生」としてのこれから

今年で「先生の先生」として働き始めて8年目となります。講義も回数を重ね、自分なりの学生との向き合い方も見えてきて、ともすれば前例踏襲になりがちな環境にあるのだろうと思います。そのなかでも、講義を通して学生と向き合うことの大切さを思い出させてくれる起点として、教職Pがあります。

学生の未来(先生になった学生、その学生が出会う子どもたち)を想定して目の前にいる学生の姿を捉え、自分はこの学生に何を伝えたいのか、それを学生が学ぶことにどのような意義があるのかを問うこと。その考えが独りよがりになっていないか、自分の都合になっていないかを問うこと。そのうえで、学生の「なんで?」に向き合うこと。これらを大切にしながら、これからも「先生の先生」として学生とともに成長をしていきたいです。

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