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教職P

修了生インタビュー

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File 5.
教職授業プラクティカムがもたらしたもの

久恒 拓也(新見公立大学 2015年度修了

教職課程担当教員養成プログラム(以下、教職P)を修了してから6年が経とうとしている。記憶が定かでないところもあり、当時の資料を探してみると「プラクティカム・自分」と背表紙に書かれたファイルを見つけた。それを材料に私の活動経験を述べてみたい。

研究内容を教職科目で扱う難しさを知る

まずはプラクティカムⅠ(2014年前期実施)から。ファイルには「授業計画」や「構想」と題して細かい文字で埋まったルーズリーフが4、5枚挟まっていた。その書きぶりからは、私が教授したい(すべき)と思うことをいかにわかりやすく伝えるか、講義の中で学生に何を考えさせるかの検討に苦心していたように見える。
幸運にも、私は教員養成の歴史を研究テーマとしており、教育の歴史を扱う教壇実習科目との整合性が高く、教壇実習でも教員養成史を扱うことができた。だが、今になって思えば、当時そこには「なぜ、この内容がこの科目で扱われるべきか」が不明瞭であった。実習後の振り返りにも、「事柄に対する疑問点を授業者がどの程度勝手に挙げてよいか」と疑念が持ち上がっていた。
このような背景もあり、プラクティカムⅡ(同年後期実施)では、研究テーマを授業で扱うことをいったんは回避しようとした。教団実習科目は教育の制度を主題とする科目で、当初は教員免許制を講義しようとしていたが、授業提供教員から「せっかくだから、君でないと教えられない内容を考えてみて」と助言をいただいた。そして、教員養成に絡めて師範学校の歴史や広島大学教育学部の成り立ちを内容に組み込んで講義することにした。
結果的に学内プラクティカムは、私にとって研究内容と授業内容との結びつきを考える契機となった。その体験は、現在も教職科目を教える際--特に発問や資料を準備するときに、自分を規制する警報器のような働きを担っていると感じている。

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勉強したことを授業用に構成する訓練

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プラクティカムⅢ(広島の私立大学・2015年前期実施)の教壇実習科目は「幼児教育課程論」で、担当回のテーマは「幼稚園はどのように日本に定着したか?」であった。就学前教育の知識はほとんどなかったため、授業提供教員のアドバイスを得ながら勉強に勤しんだ記憶がある。
得られた知識を淡々と解説していくのみでは授業の目標達成に近づくことが難しいと予想し、重要な点を軸に教授内容を絞る行程を踏んだ。また、学生の理解度を高めるための視覚資料を専門書やデジタルアーカイブから探して配布資料集にまとめ、教職P関係者との事前検討会を経て本当に必要なものかどうかを熟慮し、幾度か修正を行なった。
最も難しさを感じたのは、導入の発問を考えることであった。私の教えることが学生の頭に入りやすくしたい意図もあったが、教育史を学んでもらうにあたっては、現代社会や学生自身との接点を可能な限り意識してもらいたいという思いが強かったからだと今では思う。
以上のように、プラクティカムⅢは①テーマに沿った知識の習得、②知識の精選と伝え方の工夫などを行ない、③授業を成り立たせるように配置していく訓練であったと、私の場合は捉えている。

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