#02 INTERVIEW
インタビュー
橋本 拓夢
教教の留学
静岡県沼津市出⾝
教育行財政学研究室博士課程後期
留学先:タイ
Q.
どこにどれくらいの期間留学していましたか?
A.
学位を⽬的とする留学は今までなく、基本的にショートヴィジットと交換留学ということになっているんですが、ショートヴィジットがまず、学部1年⽣の頃のSTARTプログラムで、タイに2週間ほど⾏かせていただいて、あとJICAの⼤学⽣国際協⼒フィールドスタディプログラムという、国際協⼒の導⼊的なもので、JICA や⽇本の企業とか国際NGO とかのラオスで展開するプロジェクトサイトの⾒学とかをするプログラムでラオスに⾏かせていただいた。そして⼀番⻑いもので、AIMS-HUプログラムという広⼤のプログラムで、タイのチュラロンコーン⼤学に5ヶ⽉間⾏かせていただいて、単位互換もできて、⾃分の経験の中で⼀番本格的な留学でした。学部4年の時に、PEACE学⽣交流プログラムでカンボジアにも⾏かせていただきました。あと、3年⽣の時にも、ILDPプログラムで、これも広⼤がインドの⼤学との協定に基づくもので、これもショートヴィジットで2週間ほどで、インドに⾏ってみたかったので⾏きました(笑)
Q.
そもそもなぜ留学しようと思ったのですか?
A.
まず、元々はタイに⾏こうとは思ってなくて、とりあえず英語圏に⾏って英語能⼒を⾼めようと思って、周りのみんなの流れに乗ってSTARTにアプライしようかなーと。広⼤にくると留学はするもので、STARTに⾏くことがスタンダードみたいなところが少しあって、留学への強い思いがあったというよりもむしろ、広⼤という環境があって、留学に誘われたというか。広⼤に来たことが⾃分の⽬を世界へ⽬を向けるきっかけになったと思います。
(質問者)広⼤はたくさん留学の機会がありますもんね。
あとは、前期にいち早くSTARTプログラムに参加した同期の学⽣がとても楽しかったと⾔っていて、それも刺激になりました。
留学の理由
語学⼒
Q.
留学には語学⼒が必須かと思いますが、どのように取り組まれましたか?
A.
STARTに⾏って、初めて気付かされたというか。とりわけ受験英語に縛られて、僕も含めて⽇本⼈学⽣は、実践的な英語の弱さがタイの学⽣との交流でも感じられて、かなりショックを受けましたね。それから英語で話す機会を求めるようになった。1 年⽣の後期にSTART から帰ってきて、2 年⽣の間が英語を伸ばすために動いた⼀年でしたね。具体的には、広⼤のInternational Luncheonとか。あまりお⾦はかけたくなくて、⼤学が提供している無償の研修プログラムなんかを利⽤してきました。外国語教育研究センターがやっている英語研修プログラムとか。こうした英語能⼒の向上は、3 年でのAIMS プログラムの5ヶ⽉間の留学に向けてのことで、START で感じた悔しさを晴らすという意気込みを持って取り組んでいた。初めてのTOEIC は560 点くらいだったんですが、渡航前には700 点台に。それから3 年⽣の8 ⽉にタイに出発しました。
(質問者)英語能⼒についての悔しさへのリベンジということで、参加されているプログラムは連動しているんですね。
STARTからAIMSまでについてはそうなんですけど、他のインドやカンボジアでのショートヴィジットでは、別の⽬的もありました。学内のさまざまなところから学⽣が集められるわけじゃないですか。そうすると、いい意味で変な、⾯⽩い、世界に⽬が向いているような学⽣が集まるのは⽬に⾒えていて、その中で専⾨分野もさまざまで⾃分が思ってもないような考えに出会い、⾃分の考えも刷新されていくような、そういう契機が得られるのも魅⼒的だと思ってます。
Q.
タイ語の勉強はどうしていたのですか?
A.
まず、タイ語を勉強しようと思ったのは、屋台で英語表記が⼀切ないので注⽂すらままならないから、そういう死活問題でもあったんですね。だから街中のタイ語を⾒ては、買っておいた辞書で調べるようにしていた。そうすると、よく⾒る単語は覚えてくるんだけど、タイ語にはトーン、声調があって、そこが⽇本⼈には難しくて、だから五感をフルに活⽤する勢いで掴むしかなかった。もちろん味はしないけど(笑)。ありとあらゆる感覚を使う必要があったんですね。
留学先での⽣活
Q.
次に留学先での⽣活についていくつかお聞きします。まずカルチャーショックはありましたか?
A.
例えばタイだと、今となれば当たり前だけど、スワンナプーム国際空港に着いたら、まずラーマ9世という王様の⼤きな肖像画があるんですね。⽇本の成⽥空港に天皇陛下の肖像画はないから、国王の⽴ち位置がこの国でどうなっているのかという驚きはあった。よくよく調べると、⽇本でいう象徴どころの話じゃないということはわかってきたんですね。
(質問者)では留学中に嬉しかったことはなんでしょうか?たくさんあるとは思うのですが。
まず料理が⾮常に美味しくて嬉しかったね。タイ料理は⽇本でも⼈気がありますし。それから、バンコクの⼤学だったんですが、JASSO の協定に基づく奨学⾦を利⽤でき、そのおかげで地⽅旅⾏もできたのも良かったです。
(質問者)それはいいですね。
あ、そういえば、その地⽅旅⾏に⾏った時にバッグひとつで歩いていたら、タイのおばちゃんが「⽇本から旅⾏に来たのか」と声をかけてくれて、ミネラルウォーターを渡してくれて、これはかなり嬉しかった。やっぱり⼈との触れ合いはいいなあと。そのほかにも、スコータイ県に旅⾏してて、そのバスターミナルに向かって数キロの距離を歩いていたときに、おばちゃんが原チャリに乗せて⾏ってくれたこともあったな。学⽣との交流もあったけど、それ以外の⼈との交流もたくさんあって、タイという国を感じるにはいい機会があったと思います。
Q.
困ったこと、⼤変だったことは何かありましたか?
A.
ええっと、病気にはならなかったですね。ただ、これはお決まりのパターンですけど、下痢は余裕である(笑)。これはもうあって然るべきというか、通過儀礼と考えた⽅がいいんじゃないかと。あと、カルチャーショックじゃないけど、お尻をふく⼿動ポンプがなかなかいいんですよね。
(質問者)なかなかいいんですか?(笑)
だってウォシュレットは⾃分で操作できないでしょ?⽔の勢いは選べるけど。でもポンプの⽅はレバーで、⾃分で微細な調節ができて、あれは魅⼒的だと思いますよ。
(質問者)⼀応補⾜として、東南アジアなどのお⼿洗いでは、トイレットペーパーを常備してないことが多くて、ホースやポンプでお尻を洗うという形になってるんですよね。
困ったかもしれないということなんですけど、テスト勉強で⽇本と同様、誰かが過去問や完璧な対策ノートを持っていたりしていて、友達同⼠じゃないと回ってこないんだよね。だからしっかり友達は作っておくこと。そうしておいた⽅が、テストの対策を⼊⼿できるルートを確保することは⼤事だと思います。
Q.
留学で最も印象に残っていることはなんでしょうか?
A.
うーん。なかなか難しいね。(笑)あ、⾯⽩い経験ができたという話なんだけどね。僕は交換留学で、勉強しに⾏ってたんだけど、どういうわけか友達のツテで、タイのサッカーの4部リーグのトライアウトに連れてかれて、セレクションを受けたんですよ。結局それはダメだったんだけど、そこから⼈脈が繋がって、バンコクの⽇本⼈たちでフットサルをしているようなコミュニティと繋がることができて、海外で⽇本⼈が⼒強くコミュニティを作る姿を⾒ることができました。印象に残っているというか、⾯⽩い経験ですよね。
Q.
留学での経験が、教育学についての学びや研究に役⽴っていることはありますか?
A.
いい質問ですね。まずチュラロンコン⼤学で図書館の使い⽅をマスターしたのは⼤きかった。例えば、⽂献調査として⼤学図書館で調査することがあって、⼤学のコピーとかのルールについて学べたのが良かったんですよね。それから⼈脈とか。留学先で知り合えた友⼈や先⽣と継続的に今でもSNS でやりとりすることがあって、社会や政治の状況について聞き合える。ついこの前もオリンピックについて聞かれた(笑)。そういうディープなことも⾔い合える関係性を作れたのは今もプラスになっていると思います。
Q.
最後に教育学講座の後輩たちや留学に関⼼がある⾼校⽣の皆さんに⼀⾔お願いします!
A.
僕がチューターの先⽣に、「今⾏くべきか専⾨性を⾝につけていくべきか迷っている」と相談したときに、「まだ多くのことを詰め込んでいないうちに⾏った⽅がより多くのことが⾒える。逆に知識を⾝につけていくと、それに関連した⾒⽅しかできなくなる」とおっしゃってもらった。この⾔葉を踏まえると、⾏動を起こすのに早すぎるということはないし、思い⽴ったが吉⽇で、機会があれば迷わずに⾏った⽅がいいし、待ってるんじゃなくて機会をたぐり寄せる⽅がいい。だから、留学に限らず⾊々なものに⼿を出していくといいと思います。