公立中学校 教諭
水谷憲人さん
インタビュー
OB/OGの声
生徒の「一生懸命」を自分の「一生懸命」に
広島県立広島中学校 水谷憲人さん
現職:広島県立広島中学校 教諭
卒業:2014年3月
経歴:2010年4月 教育学部第5類教育学系コース入学
2014年4月 福山市立大成館中学校 教諭
2018年4月 広島県立広島中学校 教諭
※ このインタビューは2021年10月に行われました。
Q.
今のお仕事について教えてください。
A.
中学校で社会科教師として働いています。多くの先生方と協力しながら,生徒の成長を見守っています。広島中学校では,社会科の他にも,複数の教科と連携して行う「ことば科」とよばれる特設科目なども担当しています。また,学校内の役割としては,教務部に所属し,主に生徒に関わる書類の管理などを担当しています。現在は,第二子の出産を機に,育児休業を取得しています (※2021年8月~2022年3月末)。
Q.
お仕事の中で楽しいことは何でしょうか?
A.
楽しさというかやりがいとして感じることは大きく二つあります。
一つ目は,生徒の「一生懸命」に立ち会えることです。
「一生懸命」は,行動したり,言葉で表現したりするだけではなく,目には見えないけれど,自分なりに様々なことを考えたり,悩んだり,葛藤したり,決断したりするような心の動きも指しています。私は,これまで2回,3年生の担任をさせていただきましたが,その2回とも印象に残っているのが,卒業式を目の前にして生徒が仲間に語る様子です。自分なりの言葉で,感謝の思いや友達の大切さ,自分の失敗,将来のことなどを一生懸命表現する様子を見られること,そして,その語りを一生懸命聞く仲間がいる,そんな空間にいられることは,教師ならではの幸せだと思います。
そして,3年間を噛みしめながら臨む卒業式ほど楽しい一日はありません。生徒の「一生懸命」が,自分の「一生懸命」の原動力になります。
二つ目は,授業の奥深さです。授業での発問や資料の扱い方,プリントの作り方,声かけ一つでも授業の流れが変わっていきます。最近は,単元としてのまとまりやICTの活用,社会科ならではの見方・考え方を意識して授業づくりに励んでいますが,自分が思ってもみなかった生徒の発見や考え,様々な他の授業実践に触れるたびに,授業の奥深さを感じます。
Q.
どのような学生時代を過ごされましたか?
A.
教教の先輩に誘われて大学祭実行委員会(実委)に入り,学部1~2年生の頃は,実委中心の生活を送りました。2年生では委員長として活動しました。様々な学部の仲間や様々な学年(先輩や後輩)と共に,ゆかたまつりや大学祭の計画,準備,運営を行った日々はとても楽しく刺激的でした。サークル棟屋上での装飾づくり,ビラ配りやパンフレット作成,地元の商店街との合同企画,会場準備から撤収作業など様々な経験ができました。よりよい祭のために,真面目に夜中まで話し合う日もあれば,合宿と称して旅行することもあり,充実した日々を過ごすことができました。何より,祭の後の打ち上げは今でも忘れられない思い出です。実委での幅広い多くの経験が,今の仕事にプラスになっています。
Q.
今の進路を決めたきっかけは何でしょうか?
A.
私には7歳差の弟がいます。小さい頃から,先生になった気分で,小学校の宿題やゲームのやり方を教えていました。きっとその時の心地よさが「教育」への興味関心の原点です。弟からしてみたら,ただのお節介な兄で面倒だったかも知れませんが。「教師」になりたいと思いつつ,一方でもう少し「教育」について幅広く知りたいと思って教教に入学しました。最終的に「教師」になる覚悟ができたのは,教育実習での経験です。授業をするのがとにかく楽しくて,前日準備している時に,不安な気持ちよりもワクワクしている自分がいました。
Q.
学生へのメッセージ
A.
「教育」って何だろう?教教で学び,教師として働き,親になって子育てを始めて思うことは,教教入学時よりも,「教育」って何か分からなくなったということです。社会にとって,生徒にとって,我が子にとって自分に何ができるのか,まだまだ自分も手探りの日々を過ごしています。ただ,「教育」に関わるほど,謙虚さが大切だなとしみじみ思います。できないことや分からないことを認め,学び続ける努力を惜しまず,周りの人と協力しながら,今の自分にできることを精一杯行い続けた先に,「師」と呼ばれるに値する人間になれるのかなと思っています。
教教には,「教育」について語れる環境が整っていると思います。なかなか真面目に語る機会は少ないかも知れませんが,ぜひ仲間とともに「教育」について語り合ってほしいなと思います。将来,どの道に進んでも,その時間はかけがえのないものになると思います。皆さんが有意義な学生生活を送れることを心から願っています。